「CareCure-MD」とは、MD(筋ジストロフィー)のCare(ケア)とCure(治療)の双方の向上を目指すための臨床研究グループの愛称です。
私が筋疾患の患者さんに初めて出会ったのは平成3年でした。国立療養所西別府病院(現国立病院機構西別府病院)には当時多くの長期入院の患者さんが在院していました。 その中でも小学1年生から20歳台のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の患者さんが、同じ病棟で、医療・教育を受けつつ生活しておられる姿は非常に印象的でした。 平成8年に現在も勤務している国立精神・神経医療研究センター病院で、筋疾患の患者さんに再会しました。 その間に非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)が導入され、短期間に筋ジストロフィーの医療が大きく変化したことを実感しました。
多くの筋疾患の根本的治療は未だ開発されていませんが、医療の進歩などにより延命のみならず、生活の質(QOL)は確実に向上してきています。 私たち筋疾患の医療に携わる人間は、いかに充実した生活を送っていただくために何を提供していくべきかを常に考慮しておく必要があると思います。 先を見越した医療の提供によって、患者さんの予後やQOLは大きく変わり得るものだと思います。
筋疾患の多くは希少疾病に該当します。必ずしも筋疾患を多く経験していない医療機関でも診療を行なっていただく必要があります。 日本でも筋ジストロフィー研究班などにより筋疾患の専門病院で行われてきた筋疾患のケア・治療に関する知見の集積があります。 その専門的医療を広く普及させることに研究班が寄与できれば大きな喜びです。 このホームページが筋疾患を持つ患者さんのQOLの向上や診療や研究の進歩に少しでも役に立つことを願います。
このホームページは臨床医、医療関係者、患者さん・ご家族、研究者、製薬企業など様々な立場の方に役に立つ情報提供を目指しています。 従って医学的な知識がなければ理解が難しい内容もある点はご理解ください。またこのホームページの情報が患者さんそれぞれに適しているとは限りません。 従って主治医の先生の判断が最優先されるべきことは十分ご理解のうえ、このホームページをご覧になっていただきたいと思います。
平成23年7月
国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科医長、筋疾患センター長
精神・神経疾患研究開発費筋ジストロフィー臨床研究班主任研究者
小牧宏文