- 包括的、かつ継続的医療が重要
- 関節可動域確保のためのリハビリテーションは、足関節などの関節可動域の軽度の低下がみられる頃より積極的に行う
- 幼児期からバランスのとれた食事を心がけるよう食育に対する助言を行う。肥満・やせの双方に問題が生じる。
- 就学相談に関する助言を行う。学校内の移動による疲労や転倒に対する配慮は必要だが、可能なかぎり健常児と同じ対応が望ましい。
- 発達障害、知的障害を合併することがある。
- ステロイド療法:運動機能、呼吸機能、側わんの進行を遅らせる客観的な有効性が認められているが、特に肥満についての配慮が重要。
- 側わん:特に歩行が不能になってからの数年は側わんの進行が認められることが多く、定期的な評価、手術療法を検討する。
- 心筋症:8歳以降は年1回、13歳以降は6カ月に1回の心電図、心超音波検査を行う。左室駆出率が50%以下になった頃や左室後下壁などの局所の運動低下を認めるころよりACE阻害剤、βブロッカーの投与を開始する。
- 呼吸リハビリテーション:肺活量がピークを過ぎた頃、2L以下になってきた頃を目安に開始する。人工呼吸管理になった時の換気効率や、感染時の喀痰排出に有利となるように肺・胸郭のコンプライアンスを保つことを目標とする。エアースタッキングと呼ばれる強制的に深呼吸を行わせる方法、呼吸器感染時の喀痰排出困難時のカフ・アシストを用いた器械的咳介助は有用。
- 慢性呼吸不全の症状:易疲労性、朝の頭痛、寝起き不良、嘔気、食欲不振、眠気、頻回の覚醒,睡眠時の体位交換の増加、体重減少など不定愁訴に近い症状もあり注意が必要。
- 非侵襲的換気療法(NPPV):適切な時期、方法での導入はきわめて重要、症状のみでなく、肺活量や夜間の呼吸モニタリングを参考にする。
- 栄養:呼吸不全が顕在化するころに体重減少を認めることがある。食形態の工夫、栄養効率のよい食品、濃厚流動食の利用、それでも維持が困難になれば、経鼻経管栄養や胃ろうを考慮。
- 生命予後の延長による学校卒業後の生きがいの問題、終末期ケアの問題など長期ケアの問題。
- 多くの患者で遺伝子診断により比較的容易に診断が可能、適切な遺伝カウンセリングを行ったうえで行う必要がある。
- ジストロフィン遺伝子変異の約2/3は母由来、変異遺伝子を有する女性を保因者とよぶ。
- 保因者診断は心理的負担を強いること、自身の遺伝情報を知る・知らない権利をふまえて、遺伝カウンセリングを通して慎重に行う。
- 出生前診断も可能、着床前診断も行われるようになっている。
乳幼児期 |
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小学生 |
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中高生 |
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成人期 |
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※疾患の進行度の個人差などの理由で時期を厳密には分けられない点は留意する